古い一軒家を借りました。風呂場のタイルも雰囲気があっていい感じ。
だけど、泣きたくなるぐらいシャワーが出ません。
バランス釜とは?
まずは「バランス釜」について。
昭和の頃まで、浴室内に風呂釜があるのが主流でした。
多くは浴槽のすぐ隣に設置され、浴室内で火を焚き、お風呂のお湯を沸かしていました。
で、先のバランス釜ですが、これは風呂釜のバリエーションの一つとなります。
ガスを燃焼させる都合上、風呂釜では、燃焼に必要な酸素を吸い込み(吸気)、燃焼後に発生する二酸化炭素を排出(排気)する必要があります。
バランス釜以前の風呂釜では、これを
- 吸気は室内・排気は室外、もしくは
- 吸排気ともに室内
という方法で行っておりました。
しかし、いずれにせよ、燃焼効率・安全性の面で優れているとは言い難く(実際、吸排気に起因する酸欠事故が発生していました)、風呂釜の主流は、次第にバランス釜へと移っていくことになります。
この吸排気の欠点を改良したものが、後発のバランス釜となります。
浴室の壁に空けたひとつの穴を利用して、バランスを保ちつつ、
よう改良されたものです。
シャワーの需要は後年になってから
その後、1960年代の公団住宅とともに普及するバランス釜ですが、当時はまだそれほどシャワーの需要が無く、ニーズの大部分は「入浴(湯船に浸かること)」に向けられていました。
そのため、シャワーを使えるようにするための機能は、風呂釜とは別の燃焼装置を「増設」するかたちで実現していました。
※ そもそもシャワー機能を持たないバランス釜も存在します。
しかしこの後付けされたシャワーの機能ですが、燃焼装置の容量が小さく、充分な給湯能力を持たないことが多いのです。
その結果、バランス釜のシャワー機能は水量・水圧ともに乏しい状態となってしまっているのです。
シャワーヘッドを交換する
基本的に節水型シャワーヘッドの中から選びますが、いくつかバランス釜に特有の注意事項があります。
止水機能はダメ!
止水機能とは、
のことです。
便利な機能ですが、バランス釜での利用は厳禁です。
というのも止水ボタンで堰き止められた水流は、行き場を失ってバランス釜の方へと逆流してしまうからです。
「逆止弁」という文字どおり逆流を止める機能もありますが、残念ながら、ほとんどのバランス釜では採用されていません。
逆流はバランス釜を壊す原因ともなりますので(とても危険!)、安全のためにも、止水ボタンがない製品を選ぶようにしましょう。
塩素除去やマイクロバブルもダメ!
塩素除去には、塩素を吸着・こし取るためのフィルター(ろ材)が必要です。
そしてこのフィルター(ろ材)ですが水量や水圧にとってはマイナスに働き、シャワーをさらに貧弱なものにしてしまう可能性があります。
また最近話題のマイクロバブルについてですが、そもそもこれは強い圧力をかけることでマイクロバブルを発生する仕組みとなっています。
バランス釜のように水圧が低い環境下では「マイクロバブルは発生しない」し「あげくシャワーは弱くなる」しという結果にもなり兼ねません。
お勧めのシャワーヘッドは?
数は少ないながらも “バランス釜対応” を明記した製品があります。
そのひとつがSANEIのレイニーベーシックです。
快適なシャワーに変わるかどうかは各々の状況によって異なりますが、古いが故に少々注文の多いバランス釜でも、安心して安全に試せるというのが最大の魅力となります。
またちょっとしたことですが、3色から選べます。
入浴の気分を高めるには、好みの色を選ぶのも効果的です。