ビタミンC?
意外に感じるかもしれませんが、ビタミンCには塩素を除去する働きがあります。
化学式にすると、以下のようになります。
C6H8O6 + NaClO → C6H6O6 + NaCl + H2O
(アスコルビン酸 + 次亜塩素酸ナトリウム → 酸化アスコルビン酸 + 塩化ナトリウム+水)
ただ、この説明でピンとくるという人は稀かと思いますので(私もわかっていません…)、化学式ではなく、日常的な言葉で説明をさせていただきます。
ビタミンCと塩素が反応すると、塩素は「酸化したビタミンC」と「食塩水」に分解されます。
「酸化したビタミンC」というと聞き慣れない感じがしますが、これは一般的に「ビタミンCが壊れている」と表現されるのと同じ状態になります。
つまり、塩素が無害なものに分解されるのです。
おいしい水とビタミンC
ビタミンCと塩素にまつわるエピソードをひとつ、紹介させていただきます。
飲食店では、提供される料理や飲物だけでなく、贅沢な時間やスマートな空間を演出するのもサービスのうちだといえます。
例えば水のかわりにレモン水を出すのも、ちょっとした演出としては有効な手段です。
レモンは微かに香る程度ですが、お店の心配りも感じられて、その店を選んだことに対する満足感と、これから運ばれて来る料理に対する期待感とを高めます。
そして先ほど出された水までも、美味しいような気がしてきます。
しかしそのレモン水は、もしかすると、もともとはごく一般的な水道水かもしれません。
水にレモンを入れる最大のメリットは、爽やかな風味を付けることではなく、レモンに含まれるビタミンCの働きで
- 残留塩素を分解し、
- 水道水のカルキ臭を消す
という点にあるのです。
レモンを加えるのは、必ずしも雰囲気作りだけを目的にしたものではなかったのです。